第2部 礼典諸式 第17節 納棺式 納棺式で準備すべきものは、棺と死体に着せる衣類である。衣類は、本人が平素愛用していたものでもよいし、別に白衣を作ってもよい。牧師の短い祈りの後、近親者の手によってそれを着せ、棺に納める。(第16節の注意事項2を参照のこと) 顔の周囲は生花で飾り、部屋の正面に安置した後、遺族一同着席して納棺式を始める。 納棺式順序 賛美 聖歌 186「うきのやみのよも」 同 638「やがて天にて」 (この他、故人の愛唱歌) 聖書 詩篇116篇 1 私は主を愛する。主は私の声、私の願いを闘聞いてくださるから。 2 主は、私に耳を傾けられるので、私は生きるかぎり主を呼び求めよう。 3 死の綱が私を取り巻き、よみの恐怖が私を襲い、私は苦しみと悲しみの中にあった。 4 そのとき、私は主の御名を呼び求めた。「主よ。どうか私のいのちを助け出してください。」 5 主は情け深く、正しい。まことに、私たちの神はあわれみ深い。 6 主はわきまえのない者を守られる。私がおとしめられたとき、私をお救いになった。 7 私のたましいよ。おまえの全きいこいに戻れ。主はおまえに、良くしてくださったからだ。 8 まことに、あなたは私のたましいを死から、私の目を涙から、私の足をつまずきから、救い出されました。 9 私は、生ける者の地で、主の御前を歩き進もう。 10 「私は大いに悩んだ。」と言ったときも、私は信じた。 11 私はあわてて「すべての人は偽りを言う者だ。」と言った。 12 主が、ことごとく私に良くしてくださったことについて、私は主に何をお返ししようか。 13 私は救いの杯をかかげ、主の御名を呼び求めよう。 14 私は、自分の誓いを主に果たそう。ああ、御民すべてのいる所で。 15 主の聖徒たちの死は主の目に尊い。 16 ああ、主よ。私はまことにあなたのしもべです。私は、あなたのしもべ、あなたのはしための子です。あなたは私のかせを解かれました。 17 私はあなたに感謝のいけにえをささげ、主の御名を呼び求めます。 18 私は自分の誓いを主に果たそう。ああ、御民すべてのいる所で。 19 主の家の大庭で。エルサレムよ。あなたの真中で。ハレルヤ。 ヨハネの福音書14章1-6節 「あなたがたは心を騒がしてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい。わたしの父の家には、住まいがたくさんあります。もしなかったら、あなたがたに言っておいたでしょう。あなたがたのために、わたしは場所を備えに行くのです。わたしが行って、あなたがたに場所を備えたら、また来て、あなたがたをわたしのもとに迎えます。わたしのいる所に、あなたがたをもおらせるためです。わたしの行く道はあなたがたも知っています。」トマスはイエスに言った。「主よ。どこへいらっしゃるのか、私たちにはわかりません。どうして、その道が私たちにわかりましょう。」イエスは彼に言われた。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。」 祈祷 例1(篤信者のため) 天地の造り主にしていのちの源なる生ける父よ、御子イエス・キリストは私たちを罪から救うため、十字架上で死んでくださいました。その死の後、亡きがらを葬ることを愛する弟子たちの手にゆだねられました。私たちは今この世の生涯を終って、みもとに召された兄弟(姉妹)の亡きがらを柩の中に納めようとしてここに集まりました。主は計りがたい愛の御旨によってこの兄弟(姉妹)を罪の中から救い、主の教会に受け入れて、限りないいのちを与え、今に至るまで守り導いてくださいました。生前に神がこの兄弟(姉妹)に豊かな恵みを注いで、尊い御導きを与えてくださいましたことを深く感謝いたします。今やこの兄弟(姉妹)は、その走るべき道のりを走り、世の苦しみと悩みとから解き放たれ、全き平安と慰めとの中に移されたことを信じて、御名をあがめます。私たちは、今その亡きがらを前にして、この兄弟(姉妹)の生前の面影をしのび、哀惜の情を深くしています。願わくは私たちを助け導いて、この兄弟(姉妹)の亡きがらに対して敬弔の誠をいたし、終りの日における復活とその栄光とを、復活の主によって堅く信じ望むことを得させてください。 願わくは、尽きぬ涙の中にも主の恵み深い御顔を仰ぎ、地上における最後の別れをうやうやしく行わせてください。また眠れるこの兄弟(姉妹)のために嘆き悲しむ遺族および友人、知人をあわれみ、天来の大愛をもって豊かに慰めてください。「わたしは、よみがえりです。いのちです」と言われた主は、人類の罪を贖うために十字架上で死に、3日目に復活してくださいました。このゆえに私たちは、主を信じる者もまた、復活の恵みにあずかり得ることを信じます。また私たちは、主のご再臨の時、栄光の主イエスの御前において再会できることをグ信じ、大いなる慰めと生きた希望をいだいて御名をあがめます。 「私たちの国籍は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主としておいでになるのを、私たちは待ち望んでいます。キリストは、万物をご自身に従わせることのできる御力によって、私たちの卑しいからだを、ご自身の栄光のからだと同じ姿に変えてくださるのです」とのみことばを信じて、その復活の時まで、全能者の御手にこの亡きがらをゆだねます。これから執り行われるすべてのことを導いて、主の栄光を拝することのできるようにしてください。尊い御名によってお願いいたします。 アーメン。 祈祷 例2(求道者あるいは未信者のため) 天地創造の御神よ、神のご摂理により、この世の生涯を終って召された兄弟(姉妹)の亡きがらに対し、最後の礼を尽し、柩に納めようとして、私たちはここに集まりました。私たちは主の御旨を計り知ることもできず、人生のすべてを悟ることもできませんが、人の生死は神の御手の中にあることを信じ、御旨に従うものであります。この兄弟(姉妹)が生前求道の志を持ち、熱心に神を求め、真理に従おうとする良き心を持っておられたことは、神が知っておられます。愛に富みたもう神が、この兄弟(姉妹)のため、最善に取り計らってくださることを信じ、御名をあがめます。私たちは、今その亡きがらを前にして、この兄弟(姉妹)の生前の面影をしのび、哀惜の情を深くしています。 願わくは、故人を失って深い悲しみと嘆きの中にある遺族の上に、天来の豊かな慰めを与えてくださいますように。この際私たちに、人生とその未来について深く考え、将来への心構えをすることを得させてください。 「高ぶらないように。また、たよりにならない富に望みを置かないように。むしろ、私たちにすべての物を豊かに与えて楽しませてくださる神に望みを置くように。また、人の益を計り、良い行いに富み、惜しまずに施し、喜んで分け与えるように。また、まことのいのちを得るために、未来に備えて良い基礎を自分自身のために築き上げるように」との御教えのように私たちを導いてくださいますように。主の尊い御名によってお祈りいたします。 アーメン。 賛美 聖歌 260「主よいよいよ」 納棺の辞(故人についての所感) 主の祈り 一同 賛美 聖歌 363「ねむれ主にありて」 終祷